想像と創造の狭間で(プラモデル製作日誌を中心に)

基本、プラモデルの製作過程やカラーアレンジの紹介が中心ですが、たまに日本語にまつわる疑問・関心事についても書いていきます。

「不甲斐ない」はふがいない?

あけましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いいたします。

 

と云うことで、2013年の、そしてリニューアルしてからの1発目です。

 

この「日本語のアレコレ」カテゴリーでは、私ことChiharoが普段から気になっているコトバや新しく知ったコトバなどを取り上げて、それについてのアレコレを適当に、たまにはきちんと調べて述べていきます。みなさまの暇つぶしになれば幸いです。

 

私は国語学者でもなんでもないので、間違った見解等あれば、ご指摘いただけると幸甚です。

 

また、内容的に文字主体となりますので、写真が載らないときもありえます。

 

それでは、早速第1弾です!

 

ふがいない

 

この言葉、ひらがなで書かれることもままありますが、最近テレビや出版物で目にするのが、『不甲斐ない』という表記です。

正しくは『腑甲斐ない』なのに、なぜ『不甲斐ない』を使うのだろう。あるクイズ番組で、「○○辞書をベースにした解説」の中で、がっつり『不甲斐ない』を使っていて、辞書の名前を出しているのに、ヤバいだろうと思ったり、あるベストセラー作家の著作にこの字が使われていて、軽く幻滅したりしていました。小説や情報誌の記事には、基本的に校閲を通すことが普通なのに、校閲や編集の人はちゃんと見ているのかとか。広辞苑(第6版)にも『腑甲斐ない』としか載っていません。

 

言葉は時代によって変化する、と云うことはもちろんわきまえています。

しかし、『不』をつけて逆の意味に(字面上は)なるような変化はあり得ないと思います。「不~ない」はいわゆる二重否定で、強い肯定を表す表現です。「甲斐(性)がないわけではない」つまり「とても甲斐(性)がある」ということになります。ふがいないとは全く逆の意味で、頼りがいがあるように聞こえますよね。

 

出版物はもちろん、テレビの字幕スーパーも日本語変換ソフトを使っているんだろうに、わざわざ打ち替えているのだろうか。

そう思って、スマホに打ち込んでみました。OSはandroidなので、変換ソフトはGoogleキーボードです。

f:id:Chiharo:20210110004133j:plainえ、マジか。iPhoneを見てみます。

f:id:Chiharo:20210110004305j:plainわ、こっちもだ。でもどっちも外国のメーカーだから、仕方ないのか? 日本の変換ソフト、ATOKなら大丈夫だろう。

f:id:Chiharo:20210110004542j:plainなんと、両方出てくるとは。

 

ちなみにweb辞典のweblioを見てみました。

f:id:Chiharo:20210110004929j:plainこちらも併記されています。

 

混乱し始めた頭で、こうなりゃ、本物の辞書を見てみるしかない、と決し、まずは早引き字典を見たところ、こちらも併記されていました。

次に中学生の息子の国語辞書を見せてもらいました。同じ出版社・同じブランドの小学生向けと中学生以上向けがありましたが、驚きの結果が。

小学生向けの方には『不甲斐ない』、大人向けは『腑甲斐ない』となっています。なぜ、同じ出版社で――?

私の考えが間違っていたのか?

 

前述の通り、意味から考えると『腑甲斐ない』が正しいのは間違いありません。しかし、『不甲斐ない』も、いわゆる「誤用が習慣化したもの」として受け容れるべきなのでしょうか。

 

 

 

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